令和5年5月
岩手県立高田高等学校いじめ防止基本方針
1 いじめ防止等のための対策に関する基本的な考え方
(1)いじめに対する基本的な考え方
「いじめ」はどの生徒・学級にも起こりうることであるが、いじめを受けた生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び
人格の形成に重大な影響を与える深刻な問題である。
「いじめ」の問題は、学校が家庭、地域及び関係機関の協力を得ながら、その解決に向け一丸となって組織的に取り組むことが必要である。
よって、高田高等学校が目指す学校像「学習・部活動・学校行事が充実し、個々の能力を発揮・伸張できる学校」を踏まえ、全ての生徒に「いじめ
は絶対に許さない」という学校としての基本姿勢を明確にするとともに、「いじめ防止基本方針」を定め、学校における安全・安心を確保し、生徒と
教職員が生き生きと活動する教育環境を創出する。
(2)いじめの定義
「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う、心理的また
は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じている
ものをいう。【いじめ防止対策推進法2条】
ア 行為をした者(甲)も行為の対象となった者(乙)も児童生徒であること
イ 甲と乙の間に一定の人的関係が存在すること
ウ 甲が乙に対して心理的または物理的な影響を与える行為をしたこと
エ 当該行為の対象となった乙が心身の苦痛を感じていること
【いじめ防止対策推進法における4つの構成要素】
(3)いじめの基本認識
ア いじめは人権侵害であり、いかなる理由があっても許される行為ではない。
イ いじめは人間関係のトラブルを機序としているため、いじめられた側及びいじめた側の両方の生徒、並びにそれを取り巻く集団等に対して適切な
指導と支援が必要である。
ウ いじめは教師の生徒観や指導の在り方が問われる問題である。
エ いじめは家庭教育の在り方に大きな関わりをもっている。
オ いじめは学校、家庭、地域社会などすべての関係者がそれぞれの役割を果たし、一体となって取り組む問題である。
カ いじめはその行為の形態により、暴行、恐喝、強要等の刑罰法規に抵触することがある。
(4)「いじめ防止対策委員会」の設置
ア 校長、副校長、事務長、各課長、各学年長、学科長で構成される「いじめ防止対策委員会」を設置する。本委員会は、必要に応じて養護教諭、ス
クールカウンセラー、学校評議員などの外部人材を加えて協議することができる。
イ 「いじめ防止対策委員会」は、本校が組織的にいじめ問題に取り組むに当たっての中学的な役割を担う。
<活動内容>
・いじめ問題に関する現状の分析と指導方針・対策の決定に関すること
・いじめ防止対策のための年間計画の作成に関すること
・いじめ問題への取り組みの評価と改善策の決定に関すること
・緊急時の情報収集・記録・共有、善後策の決定などに関すること
ウ 「いじめ防止対策委員会」は、緊急会議に加えて月例会の開催により、日常的に生徒の状況に関する情報を把握し、いいつでも機動的に対応でき
る態勢を保持する。
エ いじめ事案対応委員会の設置
・本委員会はいじめの疑いを含むいじめ事案に対して迅速かつ機動的に対応するために、いじめ防止対策委員会の下に設置する。
・本委員会の構成員は、副校長、生徒指導課長、厚生相談課長、当該クラス担任とする。
・本委員会の委員長は、副校長とする。
・本委員会の構成員に、必要に応じて、委員長が指名する職員を加えることができる。
・本委員会は、いじめの認知に係る判断及びいじめ事案への対応方針について、仮決定し対応することができる。
(5)いじめ解消の定義
いじめは、単に謝罪をもって安易に解消することはできない。いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている
必要がある。
ア いじめに係る行為が止んでいること
イ 被害児童生徒が心身の苦痛を感じていないこと
「解消している」状態に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、学校の教職員は、当該いじめの被害児童生徒及
び加害児童生徒については、日常的に注意深く観察する必要がある。
2 いじめの未然防止のための取組
(1)教職員による指導
ア 教職員は、普段から全ての生徒に愛情をもって接し、温かな人間関係を醸成することにより、いじめに向かわせないための環境作りに努める。
イ 教職員は、生徒と触れあう時間を設けて円滑なコミュニケーションを心がけ、性との悩みや困っている状況などの把握に努める。
ウ 教職員は、「わかる授業」の実践が生徒の安定した学校生活と密接に関連していることを再認識し、教材研究や授業改善に励み、生徒の岐路学力
の定着を図る。
エ 教職員は、生徒が自己有用感や充実感を得られるよう、授業や行事の中ですべての生徒が活躍できる場面作りに努める。
オ 「心とからだの健康観察」などの科学的な知見を教育実践に積極的に活用する。
カ スクールカウンセラーと生徒に関する情報共有などの連携を図る。
(2)生徒に培う力
ア 毎日の授業・部活動・特別活動などの教育活動全体をとおして、他人を思いやる心、生命や人権を尊重する心、正義感や公正さを重んじる心な
ど、豊かな人間性と社会性を育む。
イ ラインなどによるいじめやインターネットアクセス時の危険性などについては、教職員による日々の指導に加え、外部講師による講演会などを年
1回実施して生徒の注意を喚起する。
ウ 生徒会が中心となって、いじめの防止やスマートフォン使用時のマナー向上などにむけて生徒が自主的に取り組めるような働きかけを行う。
(3)保護者や地域との連携
ア 教職員は、保護者が「生徒の成長」を共通目標にする良きパートナーであり、併せて家庭環境がそれぞれ異なっていることを十分に理解して接す
る。
イ 日々の出欠席など、家庭との双方向の連絡は重要な情報源の一つである。また、年2回の三者面談に加え、必要に応じて個別面談や家庭訪問など
の機会を設定し、生徒・保護者が気軽に相談できる関係作りを目指す。
ウ PTA会報などを用いて、スマートフォンやインターネットに潜むいじめなどの危険性について啓発活動を行う。
エ 東日本大震災によって損なわれた地域の教育力回復は大きな課題である。そのため生徒指導連絡協議会や在学青少年指導委員との連携を深め、地
域全体で子どもを育む環境の整備を促進する。
(4)教職員研修
ア いじめに関する教職員研修会を年に複数回実施し、いじめの早期発見と早期対応のための実践力を養成する。
3 いじめの早期発見について
(1)学校生活並びに家庭生活における兆候の把握
ア 教職員は、日常の学校生活における生徒一人一人の行動をきめ細かく観察する。また、保護者に「いじめ発見シート」とうを配布して家庭での気
づきを促す。
イ 保護者は、「いじめ発見シート」等を利用して、家庭における兆候の把握に留意する。
ウ 生徒指導課・情報担当職員は、警察等と連携してネット上でのいじめの情報の収集を図りながら、いじめの早期発見に努める。
(2)組織的な取り組み
ア いじめはどの生徒にも起こりえるという事実を踏まえ、教職員がいじめを発見し、または相談を受けた場合には速やかに、「いじめ防止対策委員
会」に対して当該いじめに係る情報を報告し、学校の組織的な対応につなげなければならない。学校の特定の教職員が、いじめに係る情報を抱え込
み、報告を行わずいじめの情報を共有しないことは法第23条第1項の規定に違反することとなる。
イ 日常的な全職員への情報共有等は、職員朝会や職員会議の場を積極的に活用する。
(3)「いじめに関するアンケート」の実施
ア 生徒指導課は「いじめに関するアンケート」を年4回、学期毎に記名式で実施する。
イ アンケートの結果は、「いじめ防止対策委員会」に報告したのち、必要に応じて全職員に周知するとともに、関係部署と連携して対応する。
(4)相談窓口
本校におけるいじめの相談窓口は以下の通りとする。
ア 日常のいじめ相談(生徒及び保護者)……全教職員が対応
イ スクールカウンセラーの活用 ……厚生相談課、養護教諭
ウ 地域・校外からの相談 ……副校長
○教育センター・ふれあい相談 ……0198-27-2331(平日9時~17時)
○24時間子供SOSダイヤル ……0120-0-78310(24時間対応)
4 いじめ発生時の措置
いじめが発生した場合は、以下の内容を「いじめ防止対策委員会」又は「いじめ事案対応委員会」の指導と助言を得ながら組織的に対応する。
<基本的な流れ>事案発生→教職員・学年長→生徒指導課長→副校長・校長
<組織間の流れ>事案発生→(いじめ事案対応委員会)→いじめ防止対策委員会
① 関係職員への第一報、県教育委員会への第一報
② 被害・加害生徒の双方に対する迅速な事実確認、必要に応じて「いじめ事案対応委員会」に報告、「いじめ防止対策委員会」への報告
③ 被害生徒の保護
④ 被害・加害生徒の保護者への連絡・対応(加害生徒・保護者の弁明機会を確保)
⑤ 被害・加害生徒に対する対応・指導
⑥ いじめが起きた集団に対する対応・指導
⑦ PTA役員との協議
⑧ 他学年、クラスの生徒・保護者への説明
⑨ 警察との連携
⑩ マスコミ対応
5 インターネット上のいじめへの対応
インターネット上の不適切な書き込み等については、被害の拡大を避けるため、直ちに削除する措置をとる。名誉毀損やプライバシー侵害等があった
場合、プロバイダに対して速やかに削除を求めるなど必要な措置を講じる。こうした措置をとるに当たり、必要に応じて法務局または地方法務局の協力
を求める。なお、児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは、ただちにちょかつ警察署に通報し、適切に援助を求める。
6 重大事態への対処
(1)重大事態とは
ア いじめにより、生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めたとき。
※ いじめをうける生徒の状況に着目して判断する。
・生徒が自殺を企図した場合
・身体に重大な傷害を負った場合
・金品等に重大な被害を受けた場合
・精神性の疾患を発症した場合
イ いじめにより、相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合。
ウ 生徒や保護者から「いじめにより重大事態に至った」という申し立てがあった場合。
(2)重大事態の発生時の措置
ア 「いじめの結果ではない」又は「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして調査・報告に当たる。
イ 重大事態が発生した場合、直ちに県教育委員会に報告すると同時に、「いじめ問題調査委員会」を設置し、対応を協議する。
ウ 県教育委員会の助言により、その事案の調査主体や調査組織構成を決定し、事実関係を明確にするための調査を行い報告する。また、調査組織構
成は、当該いじめ事案の関係者と直接の人間関係または特別の利害関係を有しない者を原則とする。
7 いじめ防止に関する取り組み改善のための学校評価
(1)いじめ問題への対応と評価の基本的な考え方
学校経営計画に、いじめ問題に関する具体的取組や検証可能な数値目標を設定する。12月には、生徒・保護者・教職員による評価を実施し、
PDCAサイクルを活用した教育実践の改善を図る。
(2)いじめ問題に関する主な取組と数値目標
ア 重大事態発生件数…0件
イ いじめに関するアンケートの実施…年4回
ウ 学校評価の「生徒の悩みによく関わっている」と答えた生徒の割合…80%以上
エ 不登校率(30日以上欠席者/全校生徒)…2.0%以下
オ 高2基礎力確認調査意識調査の「自分にはよいところがある」と答えた生徒の割合…75%以上
(3)この基本方針は、全校集会、PTA総会、学校通信、学校ホームページ等で生徒・保護者・地域に広く公開する。