『地域とともに歩む 一人ひとりが主役になれる学校』岩手県立大迫高等学校

　平成30年度に創立70周年を迎えた本校は、昭和23年に岩手県立花巻第一高等学校大迫分校として開校しました。花巻市大迫地区で唯一の高校として地元の方々に愛され、5000名を超える卒業生を輩出し、今年度で77年を迎える歴史と伝統のある学校です。
　本校は、豊かな自然、伝統文化に恵まれた、大迫の地域とともに歩み続けています。小規模校のメリットを生かして、みなさん一人ひとりにきめ細やかな対応ができる学校です。
　探究活動では大迫地域の活性化に向けて積極的に取り組み、たくさんの支援をいただいています。「早池峰神楽」や「昔話の語り部」の伝承活動、「クロスカントリー大会」ボランティア、「宿場の雛まつり」ガイドボランティアなどの大迫地域の行事にも参加しています。大迫地域の活性化のためのプロジェクトの活動を通して、地域を愛し郷土を誇りに思える生徒を育てています。
　また、「少人数制」、「チームティーチング」、「通級による指導」など個に応じた指導を行うとともに、多彩な選択科目の履修を可能とする教育課程を設定し、一人ひとりに対してきめ細やかな対応をとり、学習活動を展開しています。
　本校には社会に羽ばたくための必要な学びが随所にあります。本校での学校生活が素晴らしいものとなるよう願い、今年度の始業式と入学式で、生徒に送った二つのメッセージ（二つのRe）を紹介いたします。

一つめ　自分も他もRespectする
　リスペクト。日本語では「尊敬する」「価値を認める」「大切にする」という意味になります。生かされている命に感謝し、自分自身を、自分の人生を大切にできる人は、自分の弱さも知っているので、人に優しくなれます。周囲の声にも耳を傾け、周囲に敬意も表してくれます。人は、立場、考え方が、皆違います。家の中でも、学校内でも、卒業後に過ごすであろう新しい場所でも、その多様性を受け入れながら過ごすことが求められます。
　自分も他もRespectする。これは本校の校訓「相尚以道（あい　とうとぶに　みちをもってす）」そのものです。
　最近、自然災害により学校の教育活動に影響が出ているニュースを目にすることが多いと感じています。昨年度、本校を会場に防災キャンプを実施し、防災意識を今まで以上に高めたところです。防災キャンプは、いわての復興教育の一環として継続して実施していきます。
　平穏に日々の授業ができることは「あたり前」のことではなく「ありがたい」ことなのだと思います。今、このようなすばらしい学習環境があることに感謝（Respect）したいと思います。

二つめ　Resilienceを高める
　レジリエンス。簡単に言うと、良い方向へ立ち上がれる「しなやかさ」ということです。レジリエンスは、学校生活だけでなく、一般社会でも、必要とされるスキルの一つと言われています。レジリエンスを高めていくためには、必要に応じて他の力を借りて様々なことにチャレンジすること、自分で考え自分で決めて行動することが大切です。
　そのためには「学び」が必要です。授業、探究活動、部活動、ボランティア活動など、あらゆる場面において、友人、先生方、地域の方々との対話や交流から生まれる「問い」と向き合うこと、時には自ら「問い」を立て、自分で考えることが大切です。日常の学校生活での様々なチャレンジから「学び」が始まります。その「学び」を深めていくことで、自分で決めて行動できるようになり、Resilienceを高めていくことにつながります。

　大迫高等学校で、生徒の皆さんが、安心して、のびのびと学習できるよう、先生方と地域の方々と力を合わせ、「一人ひとりが主役になれる学校」をつくっていきます。

令和７年４月　
校長　佐藤宣昌