学校案内
校長挨拶
校長 礒部 隆宏
本校は、昭和18年(1943年)4月、時あたかも大戦のさなかでしたが、長年にわたる地域住民の願いがかない、岩泉町立農業学校として開校しました。昭和23年には、岩手県立岩泉農業高等学校として夜間定時制も併設しました。その後、昭和24年に現在の校名である岩手県立岩泉高等学校と改称し、一昨年度には創立80周年を迎えました。この間、本校は、小川、田野畑、小本の三分校を有し、おもに岩泉および田野畑地域の有為な人材育成において中心的な役割を果たしながら、現在まで11,500名を超える卒業生を世に送り出してまいりました。
平成28年(2016年)8月末に発生した台風10号豪雨では、岩泉町全域が甚大な被害を受け、本校も一定期間、休校とせざるを得ない状況に直面しましたが、幸いにも生徒・教職員は皆無事であり、各方面からの温かいご支援と励ましを頂戴しながら約2週間後には教育活動を再開し、現在に至っております。たくさんのご支援をいただいた皆様方に対しまして、心より感謝を申し上げます。
本校の役割は、「生徒一人ひとりの個性や能力の伸長を図り、高い志を持って21世紀を切り拓く人物を育てるため、生徒に感動を与え、自己成長を実感できる教育実践を行い、『地域に支えられ、地域を支える学校』」であり続けることです。予測困難な時代を生き抜くためには、どんな力を身につけなければならないのか。人の役に立つためには、どんなことを学ばなければならないのか。どうすれば、自らの力を地域で生かせるのか。これらの問いに対し、本校では探究活動や種々のボランティア活動を通して生徒自らに「気づき」を与えることを大切にしています。私たち教職員は、そうした「気づき」の先に生まれる夢や目標を生徒と共有できる伴走者でありたいと考えています。
さて、令和7年度は41名の新入生を迎え、全校生徒116名で新たなスタートを切りました。校訓「立志 邁進 才知 共生」のもと、生徒たちは学習、部活動、学校行事等に熱心に取り組んでいます。それぞれが新しい環境の下で、新たなことに挑戦を始めています。
本校の特色ある教育活動の一つ、課題探究型学修「KIZUKIプロジェクト」は、今年度で9年目を迎えました。このプロジェクトは、生徒の課題解決力を高め、地域との連携のもと、「グローカルな視点」と「課題を我が事として考える視点」とを育成することで、岩泉町の復旧・復興と岩泉・田野畑地域振興の一助となること、および生徒自身のキャリア形成や進路実現に資するよう学校全体で取り組んでいるものです。令和7年度は従来の成果の上に、さらなる取組を各所で展開してまいります。その活動の様子は、今後、学校外でも目にすることが多くなることでしょう。昨年度と同様、活動の様子は、メディアプラットフォーム「note」でも積極的に発信を行ってまいります。
本校の部活動を代表するものとして、郷土芸能同好会による「中野七頭舞」があります。岩泉小本地区に古くから伝わる芸能で、起源は天保時代にまでさかのぼるとも言われます。苦難の中に土地を開墾してきた当地の歴史がモチーフとなっており、七つの道具を持って踊る姿はストーリー性と躍動感にあふれています。現在、「七頭舞」には多くの生徒が取り組んでおり、日々活発な活動が行われております。おかげさまで、この活動が高く評価され、昨年8月に岐阜県で開催された全国高等学校総合文化祭に岩手県代表として出演を果たすとともに、全国各地から招待演舞の依頼も多く受けており、令和6年度は飛躍の年となりました。他の部活動も、人数が少ないながらもチームワークよく練習を重ね、上位大会への出場を目指しております。今年度も各種大会での活躍が大いに期待されるところです。
結びに、日頃より岩泉・田野畑地域の方々から頂戴しております数多くのご支援に対しまして、教職員・生徒を代表し改めて感謝を申し上げます。岩泉町には全国的にも名高い鍾乳洞「龍泉洞」がありますが、本校も昇り龍のごとく、いっそうの飛躍の年となるよう、「チーム岩泉高校」として地域とともに一丸となって歩んでまいりますので、今後とも本校の教育活動に対しましてご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。
令和7年4月