スーパーグローバルハイスクール

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11月17日(金)
 PMCカフェテリアでの最後の食事を味わいます。今日のメニューには、生徒たちに人気のベーコンがありました。最後の研修となる今日も生徒たちは元気そうです。昨日降っていた雨は上がり青空が見えますが、雲が飛ぶように流れていきます。風が強く、気温以上に寒さを感じます。
 午前中は、学術研修のまとめとしてボストン市街地の自主研修です。それぞれ地区を決め、ここまで学んだ計画的な開発&再開発についての知見を実地で確認します。引率者が同行したグループは、まずプルデンシャルセンター50階のスカイウォーク(http://skywalkboston.com/ )に上りました。ボストン周辺は高い山がないので、360度ほぼすべて水平線と地平線が広がっています。初めて見る大西洋の水平線や飛行場での離発着に感激しますが、興味深いのは眼下の市街地です。最も古い市街地は道が曲がりくねり建物の高さも不揃いなので、見た目にもごちゃっとした印象ですが、計画的に開発された地区は格子状に街路が整備され、建物の様式や高さも揃っています。地震が少ないこと、景観保護の条例が守られていることなど、要素はいくつかあると思いますが、古い町並みがそのまま残されていることが上からも見て取れます。その地区の建物の高さで開発された順番を推察することができます。市役所で見学した模型と配置は同じですが、色彩豊かで動く街並みを見なければ気づかないこともあるものですね。机上での学びと体験が結びつく強烈なAha体験となりました。
 続いて、地上で実踏する地区はBack Bayです。この地区は19世紀に埋め立てられ、計画的に整備されました。レンガ造りの建物が当時のまま並んでおり、先日鑑賞したAmadeusの舞台さながらです。実際に歩いてみると、ただ景観が保護されているだけでなく、人々の生活が息づいているのを感じることができます。ニューベリー通りに面する建物は1階部分が商店となっており、それ以外の部分は住居になっています。コモンウェルス通りは仙台の定禅寺通りのような並木道で、散歩やジョギングを楽しむ市民の方と多くすれ違います。Back bayの北側はチャールズ川で終わります。川沿いには公園や自転車道が整備されており、市民の憩いの場となっていますが、この日は嵐のような風なので遮蔽物のない川岸に人影はまばらです。対岸はMITやハーバードが並ぶ学園都市で、こちら側とは異なる街並みが続いています。強風に川面は白波立っていますが、見上げると透き通った青空が続いています。
 Mariott Copley Placeに集合し、午後は全員で芸術系の学校を見学します。最初に見学するエマーソンカレッジ(http://www.emerson.edu/ )は、芸術全般を学ぶことができる大学ですが、特に映像や広告に力を入れています。テレビ局さながらのスタジオや機器を備えており、常に最新のものに更新されています。学生さんたちはそれぞれでチャンネルを持っており、番組を作りながら学びを深めていくことができます。また、すべての専攻でコミュニケーションの学習を重視していることが何度も強調されていました。実際に仕事をする際には、技術やセンスだけでなくチームとして協力することが必要となるからです。次に、ボストンシンフォニー近くに立地するニューイングランド音楽院(NEC https://necmusic.edu/ )を見学します。演奏会を行うホールと同じようなラウンジには楽器を持つ学生さんたちが大勢います。ちょうど授業中の時間で、各教室からは練習する音が聴こえてきます。窓から見える学生さんたちは真剣な表情です。JAZZの教室に実際入らせていただきました。ちょうど実習中で、4人の演奏を他の学生さんたちが鑑賞しているとこころでした。この学校は、小中複数のホールや練習室を持っており発表を重ねながら技術を高めていきます。仕上げとして、Jordan Hallという大ホールも用意されています。また、リベラルアーツを学ぶコースや、音楽を学問として学ぶコースなど、音楽家以外の人材を育てる学びも充実しています。
 15時半〜18時は最後のフィールドワークです。中心市街の市場調査も兼ねて、お土産を探したりボストンの味覚を堪能したりと、グループごとに最後の夜を満喫しました。
 19時からは寮のラウンジで修了式が行われました。お忙しい中、Rhonda先生も駆けつけてくれました。一人ひとりの生徒に手渡された修了証書には、この2週間でお世話になった先生方直筆の署名がすべて記入されています。証書授与に続き、印象的な体験を一人ずつスピーチしました。志望する分野に近い活動を答える生徒もいれば、そうではない生徒もいました。それで良いのです。学問と学問はもちろんですが、学問と都市、学問とエンターテイメントも実はどこかでつながっています。ボストンで出会った先生方は、どの方も一つの専門に留まってはいませんでした。名残り惜しい時間ですが、明朝出発する準備を終わらせてしまわなければなりません。増えた荷物をいかにパッキングするか。これもまたフル回転で頭を使う営みなのです。
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