スーパーグローバルハイスクール

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11月16日(木)その2
 会議室に着くと、すぐにHT&KNチームのプレゼンテーションが始まります。日にちが空いていましたが、その間にしっかりと内容を詰めてきました。コメントでは、持続可能性にSocietyの側面を入れていることを評価していただきました。日本同様米国でも、かつての都市開発では経済効率を重視するあまり「人」の側面が欠如していたそうです。現在ではその反省を踏まえ、人の流れや住環境、コミュニティーの形成を考慮に入れた都市設計がなされています。知の拠点の提案に対して、世代を超えた統合(integration)が重要であり、同じ世代内での意見交流も大切だが、そのうえで異なる世代間での意見交流も進めていく必要があると仰っていました。再生可能エネルギーについては、具体的なFuture Planを提示すべきとの指摘がありました。それぞれの種類の発電力やコストを算出すれば、数年後のプランを提示できれば、自治体への提案といった主体的な行動へと研究を進めていくことができます。帰国後にどのくらいまで深化できるか、今後が楽しみです。
 続いてJohn Dalzell氏から、Boston Green Policy Development Processについてのプレゼンテーションがなされました。今から15年前、当時の市長の提唱により、ボストンをSustainable Cityにするためのチームが編成されました。各方面の専門家へのヒアリングから始まり、条例を制定したのですが、百万人以上の大都市でこのような取り組みを始めたのは全米でも初めてだったそうです。具体的な例として、古い建物からSustainableな建物への転換、住宅やコミュニティスペース、公共施設などが挙げられました。興味深かったのは、経済面での効果を出せば自然と新しい建築に移行するという話です。つまり、エネルギー効率の良い建物(さらに、消費を発電が上回るE+ Green Buildings)を建てれば、新しいにも関わらずテナントを利用料が低く抑えられるので、古い建物にはテナントが入らなくなる。従って、古いままのビルは放置しておいても自然に淘汰されるというのです。生徒からは、ボストンの再生可能エネルギーの内訳や、Green Cityとなることでどのような変化があったか、などの質問がありました。ボストンも、かつては岩手と同じ内訳だったが、Green Cityを推進することで現在は外から電力を購入する必要がなくなったそうです。ソフト面では、市民の意識がCO2を減らそうという志向に変わったことが特徴的な変化として紹介されました。
 ノースエンドのイタリア人街でパスタの昼食をいただき、スポールディング・リハビリテーション病院(http://spauldingrehab.org/ )まで約1時間歩きます。病院は全米でも最高クラスの施設を誇っていますが、持続可能性にも留意して建てられています。今後の温暖化による海水面上昇を予測し、1階部分は水没しても病院として機能する設計になっています。最も重要なものは最上階付近にあり、1階は水没しても良いものばかりが置いてあります。埠頭の先端に立地するので病室からの眺望は最高でした。
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