スーパーグローバルハイスクール

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11月8日(水)
 PMCで迎える3回目の朝は、昨日よりもさらに遅く7:40に寮を出発して朝食に向かいました。生徒は元気に朝食を食べています。ゆうべ疲れ切っていた生徒も元気になっているようで一安心です。
 午前中は、語学研修です。1コマ目の語彙と文法の授業では、aで始まるものから順に"Felix the cat is〔  〕cat."の〔  〕に形容詞を入れていく学習が行われました。学生さんたちが出した解答にコメントする形式で授業が進み、lovely(かわいい)/ loving(飼い主に愛を与える)/ lovable(愛すべき)の違いのように解説を聴くことで語彙を増やすことができます。
 午後は、同じPMC内で教育に関する研修を行います。会場は、歴史的な建造物でもあるため研修前に建物内を見学しました。木造の見事な西洋建築で、オルガンまで完備していました。
 研修では、まずSam White氏からアメリカの大学への入学方法(College/University Application Process)についての説明がなされました。アメリカの学校では、その学生がどのような特性を持っているか、どのように伸ばせるかを重視するため、自分が他の受験生とどのように違うかをポジティブに示す必要があるそうです。日本の大学とは異なり、複数受験が可能なため、願書は毎年大量に送られてきます。重視されるのは小論文(essay)や推薦状そして高校での成績です。テストの点数も評価の対象ではありますが、一発勝負のテストよりも数年間の学びの積み重ねである成績のほうを重視する傾向があるとのことでした。これらをもとに面接(interview)を行います。面接では、入学後や卒業後のことを考えているかどうか、書類をもとに確認していきます。これらを通して受験生の良いところを引き出し総合的に判断します。学校側は、学校に合うかどうかで受験生を選抜しますが、それと同時に受験生の側も自分に合うかどうか学校を選ぶ制度になっています。
 続いて、HR&Iチームによるプレゼンテーションです。ふたりの発表は、11月6日に続き2回目です。前回よりも長い時間の発表なので、コミュニティカレッジがなぜ必要なのか、その理由まで丁寧に説明しました。今日の指導者は、PMC-ELIのRhonda Seidman氏とDan Bohrs氏(http://www.pmc.edu/eli-staff )です。発表を受けてのディスカッションでは、次のような話題について議論となりました。
 【1】コミュニティカレッジの開講時間について
 昼間開講か夜間開講か、何を大切にするか目的にするかによって異なるとの指摘があり、様々な人を対象とすることを考えているので、両方開講したいとの回答があった。
 【2】資金について
 【1】のようにするならば多くのクラスを作る必要がある。その資金はどうするか。地域でまかなうとすると、地域間格差の問題が出てくる。政府や企業の支援が必要になる。
 シングルマザーは仕事を掛け持ちながら子育てをしており、一日中忙しい。このような人が学ぶにはどうしたらよいか、という問いかけが聞き手の生徒の側からなされた。政府や自治体からの経済的な支援、学びの間のチャイルドケア、ベーシックインカムなどに話題が及んだが、このことは日米ともに現在も進行中の難題であり、抜本的な解決策は示されなかった。子どもの貧困についても、地域間格差が大きく解決は困難である。
 【3】学びに対する考え方の違いについて
 米国では、学びは生涯を通じて続けるものであり、学び続ける人に敬意を払う文化がある。また、制度面でも、離職後に学び直しや学びを転職に活かすことが可能な仕組みになっている。このようなLifelong Learningという考え方があり、大学入学や就職が学びの目的となっている日本とは大きく異なる。
 【HR談】:今回は前を見て発表できた。初回よりは要点が伝わる発表ができた。
 【I談】:より分かりやすく伝えられた。前回(5分)よりも時間が長く、コミュニティカレッジが必要な理由をしっかりと含めることができた。
 その後、米国の授業が双方向的であるのに対して、日本が教員からの一方向の傾向が強いこと、授業でのスマートホン問題などが話題になりました。PMC-ELIの語学研修を受けての感想を求める質問が先生方の側からあり、年齢層や出身国の多様性に衝撃を受けたとの回答がありました。
 議論の中では解決策の出ない問題も多くありました。両先生ともたびたび「これは難しい問題だ。生徒たちはよく取り組んでいる。」ということを仰っていました。今日の学術研修も議論が白熱する充実したものとなりました。ボストンの先生方のお力によるものであることはもちろんですが、発表の要点がよく伝わり、その後の議論の方向性が明確になったためであり、生徒たちが活発に発言するためでもあります。生徒たちはよく頑張っています。
 夕方は楽しみにしていた自主研修の時間です。初日に行ったショッピングモールで再度フィールドワークを行うことになりました。探究テーマを「海産物の消費についての比較調査」に定めました。100年超の伝統を誇る商店(https://www.legalseafoods.com/ )をフィールドに、店頭に並ぶ鮮魚の種類と価格、消費される海産物の種類と調理法などについて全員で分担して調査にあたりました。最後には米国の飲食店における決済方法についても実習しました。研修費用がかかりましたが、満足度の高い充実した活動でした。
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