スーパーグローバルハイスクール

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3月15日(水)
 台風一過の如く、昨日の吹雪が嘘のような晴天。
 8:00寮の玄関で点呼及び体調確認。
 その後カフェテリアで朝食を採り、インターナショナル・クラスを受講。
 昨晩の特訓の成果もあるのか、授業初日の姿とは一変、皆授業中に積極的に発言したり、多国籍の同級生とコミュニケーションをはかっている姿が見られた。英語によるコミュニケーションに徐々に自信が生まれている生徒もいる。
 頼もしい限り。
 12:30から昼食を採り、14:00からはパム女史による「コミュニケーション・トレーニング」と「プレゼンテーション講座・演習」。
 昨日の吹雪の影響で、当初三日間にわたるはずだった女史による特講を、この日に詰め込んだ形となってしまった。時間的にも内容的にも負担が大きくなるかと思われたが、既に生徒達と女史の間にはラポールが築かれ、濃密な時間はあっという間に過ぎていった。
 本日は異文化間コミュニケーションの科学的分析に基づく、アメリカ人とコミュニケーションをとる際に役立つコツを教えてもらった。プレゼンテーションに関しては、日本人とアメリカ人の特性の違いに配慮し、オーディエンスによって要求されるデリバリー・スキルが異なることを、具体的な方法論を提示しながら教えてもらった。これらの指導は、将来国際的な舞台での活躍が期待される彼らにとって、貴重な財産となるはずだ。
 授業後、本日をもってお別れとなる女史と、時間が許す限り別れを惜しんでいた生徒達の姿が印象的であった。
 夕食後、オプショナル・アクティヴィティーとして、アメリカで最も古い音楽学校ニューイングランド音楽院(NEC)の、学生オーケストラによる無料コンサートに、希望者7名と千條が参加した。
 場所はボストン市街地、世界的に有名なバークリー音楽院やボストン・シンフォニー・ホールにほど近い、NECが所有するジョーダン・ホールである。
 今回の旅で初めて、地下鉄(市街地を離れると地上を走行。通称「T」)で移動した。
 久しぶりの市街地に興奮したのか、黄昏時というのも相まり、女性陣4名が暴走気味にはしゃぐ。今回の旅のベスト・ショットのいくつかを撮影できたことは収穫。
 ジョーダン・ホールでは我々の前の座席で、高齢のカップルが仲睦まじく演奏が始まるのを楽しみにしていた。
 アメリカ社会における個人主義を精神面で補完する家族観、そしてその下支えとなるキリスト教由来の“Love”。一つの理想の形に触れ、若者はその幸せに憧れ、青年は幸せの意味を考え直す、良い契機となった。
 演目は現代音楽二曲と、ベートーベン交響曲第5 番。
 身体的な躍動を伴う技術を多分に要求される演目に、若い演奏家達が情熱を持って対峙する二時間は、所々のミス・トーンを補って余りある感動をもたらしてくれた。
 3月18日(土)の晩には、世界でも有数の水準を誇る、ボストン・シンフォニーを聴く機会を得られる。しかし生徒達にとっては、同世代の若者で構成されるNECとの出会いもまた、人生にとってかけがえのないものとなるのではなかろうか。
 交響曲第5番第3楽章のクライマックス、高揚感溢れるリフレインに、老夫婦とともに思わず立ち上がり、手が痛くなるくらい拍手を送った経験は、きっと彼らの記憶に刻まれる。
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