自閉症について


1 自閉症とは

自閉症とは心の病ではなく中枢神経の障がいです。環境や育て方によるものではありません。
1000人に1.5人位いるといわれています。男子の方が女子より多いとされています。
自閉症の子は、目や耳から入ってきた情報を整理して、全体としてまとまった意味のあるものにする(認知する)ことが苦手です。その結果、言葉の意味が理解できない、特定のものだけが強調され全体像が把握できないということがみられます。
自閉症の3つの特徴 (3歳頃までに次のようなことがあらわれ、年齢とともに改善されるものもあります。)
1.視線を合わせようとしない。表情がない。身振りがない。感情の共有がみられない。
2.ことばの発達の遅れ。ことばがあってもおうむ返しかひとりごと。
3.活動や興味の範囲が極端にせまい。積み木を一列に並べるだけの遊びや同じことの繰り返し。目の前で手のひらをひらひらさせ、感覚的(光や音)な遊び。周囲の様子が変わるのを極端に嫌う。
自閉症のお子さんの7割に知的な発達の遅れが見られます。また、2〜3割くらいにてんかんがあります。知的な遅れがない場合でも、コミュニケーションがうまくできないなどの障がいがあるため、周囲の援助と理解が必要です。

2 自閉症の子への教育

自閉症にも軽度から重度まであります。また、その子どもによってあらわれてくる行動の特徴も様々です。
共通していることは、ことばの意味をうまく理解できないということです。ことばだけで指示したり注意したりしてもよくわかりません。また、怒鳴りつけたり、手をあげるということも、周囲の状況や因果関係を理解することが難しい障がいですのであまり意味がありません。
自閉症の子には、集団で生活する上で問題になる行動がたくさん見られます。たとえば、みんなが好む音楽が嫌いだったり、教室の窓が開いていると必ず閉めないと気がすまなかったりなどです。無理にやめさせるのではなく、環境をその子にとって快適で安心できるように整備し、少しずつ、他のものに興味をむけさせてやることで改善されていきます。
●指導のポイント●
・話しことばによる理解が難しいです。特にも、抽象的な事柄は理解しづらいです。
絵カードや写真や文字カードなどと共に、簡単なことばで具体的に肯定的に伝えます。紙芝居形式も有効です。
一度に沢山のことを指示するのではなく、一度に一つのことを指示するよう心がけましょう。
なお、絵や文字カードは個に合わせた物を提示します。場合によっては、必要のない場面もありますので、それぞれの実態に合わせて準備して下さい。
 
また、適切な表現で自分の気持ちを伝えることが苦手です。何を伝えたいのか、焦らず耳を傾けてあげましょう。
・集団行動が苦手です。
行事などの際は、事前にスケジュール提示し、どんな活動をこれから行うのか知らせて下さい。
順序立てて知らせた方が理解しやすい場合もあれば、漠然と知らせておくだけで良い場合がありますので、個に応じた対応をしてください。

また、順番や決まりが守れないときは、やさしくおだやかに対応します。急に怒鳴りつけられると何が起こったのか理解できず、パニックになることがあります。
パニックを起こした場合は、静かな場所、一人になれる場所へ移し、クールダウンさせてあげてください。
・急な変化が苦手です。
予定を予め知らせましょう。1ヶ月単位、1週間単位、1日単位、1時間単位など提示形態があります。個が分かりやすい方法を取ってください。見通しを持たせると次の行動に移りやすくなります。
予定の変更があるときは、特にも前もって丁寧に教えてください。
・人に迷惑をかけたり、ルールを守らないときは「ダメだよ」とはっきり何度でも教えることが必要です。
ただし、「だめ!」だけでは、正しい行動は伝わりません。どのようにふるまえばいいのかを、簡潔かつ具体的な言葉で伝えて下さい。例)廊下を走っている場合→×「走っちゃいけません」 ○「歩きます」
少しずつ覚えさせることで社会ルールを覚えていきます。
短期間で定着することは難しいと思いますので、忍耐強く、毅然とした態度で指導して下さい。
・こだわりのくせは人一倍強いですが、個性としてなるべく認めてやりましょう。
・自傷行為(自分の頭を壁に打ちつけるなど)があまりに激しい場合は医師に相談しましょう。
・自閉症の子は、人をだましたり、うそをついたりしません。自分からケンカをすることもできません。イタズラも悪気はないのです。自閉症の子は、無抵抗なため、からかわれたりいじめられたりすることがあるので、特段の配慮をしましょう。


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平成30年4月 支援センター部更新
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