AD/HD(注意欠陥/多動性障がい)について


1 AD/HDとは?

AD/HD主症状は、「注意欠陥」(Attention Deficit)と「多動性・衝動性」(Hyperactivity)です。
「注意欠陥型」と「多動型」、両方の症状を併せ持つ「混合型」に分けられます。

「注意欠陥」は、興味がないところに注意(Attention)出来ない事を指します。
逆に興味があれば過剰に集中します
直接話しかけられた時にしばしば聞いていないように見える等、「注意欠陥」の症状は目立ちにくいため、発見されにくい傾向にあります。
また、授業についていけない事から
知的障がいと間違われる事もありますが、その場合、知能検査等で確認することが可能です。

一方、「多動性・衝動性」は、知的水準に合致しない落ち着きのなさを示します。
しばしば手足をそわそわと動かしたり、しばしばじっとしていられなかったり、しばしばしゃべりすぎたりといった症状があります。
学力的に何ら問題のない6年生が1年生のような落ち着きのなさで動いているようなとき、これを「多動」と言います。

ADHDのお子さんは、発見されにくい、障がいが理解されにくいということがあります。
このために対応が遅れ、二次的な心理的・行動的問題がおこりやすいので注意が必要です。
また、言語発達の遅れ、学習障がい、知的発達の遅れ、協調運動発達の遅れなどを併せ持つことが多いです。

2 ADHDの子への教育

まず、ADHDという障がいについて正しく認識することが必要です。ADHDの子は、単なるわがままや勝手な行動をするあつかいにくい子どもと見えることがありますが、生育環境からくるわがままとは根本的に異なります。つまり、自分ではコントロールすることが難しい状態なのです。

ADHDの子に対しては特別な配慮や援助が必要です。周囲の子どもたちに対しての指導と配慮も必要です。望ましい学級集団を作ることが、ADHDのお子さんへの支援の基盤ともなります。


支援のポイント●

○物理的設定をします
・席の位置 ・ものの置き方、片づけ方を分かりやすく提示 ・刺激の遮断 など

スケジュールを視覚的に分かるように提示します。

順序立て、組織化の支援をします。

・何をするのか ・どんな活動か ・いつ終わるか ・終わったら何があるか

場面に応じた言動を具体的に教えます。

自分の気持ち、相手の気持ちを表現する言葉を意識して使います。「おもしろいね」「やさしいね」等、会話を通して教えることで、周囲の状況や友だちの様子を見ようとする態度が出てきます。
会話に割り込んでくる子に対しては「今お話中だから、待っていてね」と待たせるようにしたり、「すみませんが」と割り込んでくる場合の言葉を教えます。
次々に話題が変わる子に対しては、「今のお話は何だったかな?」と問いかけ、話題がずれていることに気づかせます。
「そんなことをしてはダメです」ではなく「授業中には席に着きましょう」「黒板の方を見ましょう」など肯定的な言い方で話します。また「きちんとしなさい」ではなく、「何をどうするのか」ということを具体的に話します。

やり方が分からない子に対しては、「教えてください」「手伝ってください」など援助を求める言葉を教えます。

増やしたい行動は、すかさずほめます。

減らしたい行動は、行動だけ無視します。人格までを無視しないでください。
絶対許せない行動は、即座に止めます。

3 薬物療法
注意欠陥・多動がない状態を一時的に作り出すために行われます

薬剤の利用により、衝動性が押さえられ、不慮の事故が防げるようになるだけでなく、よりよい生活習慣や社会性を身につける事、すなわち本人の努力が身を結びやすくなります。落ち着いて生活する事ができるようになり、克服する術を覚えた時、役目を終えます。従って、薬を一生涯飲み続ける事はありません。
なお、背景となる環境や疾患、状態、年齢等によって薬物療法の効果は異なりますし、薬物療法がすべての子に必須だという事でもありません。
薬物療法は専門の医師の診断が必要です。お近くの専門医にご相談下さい。

    

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平成30年4月 支援センター部更新
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