岩手県立盛岡視覚支援学校
進路だよりNo.1
令和7年6月16日発行
進路指導部

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●働きやすい環境とは何か
進路指導主事 齋藤 賢一(さいとう けんいち)
本校の生徒が社会に出る際に、お世話になる企業や事業所に職場環境の配慮事項を伝えることは大事なことです。今年度初めに開催した高等部進路ガイダンスにおいても、働きやすい環境を自分自身で伝えることの大切さを話しました。視覚障がい者にとって、初めての空間は何か目印を付けるだけで単独移動や下駄箱等の位置情報を知らせてくれます。これは、雇用する側にも職場環境を整える義務があり、お互いのミスマッチを防ぐ意味でも、進路指導においては最重要な仕事になります。その他にも求める配慮事項は多々ありますが、ここでは紙面の都合上、省略させていただきます。
今年度、専攻科の施設見学に同行させていただく機会がありました。訪問先の高齢者施設には、六年前に本校専攻科を卒業したAさんという女性が機能訓練指導員として働いていました。彼女は全盲の生徒ということもあり、職場実習や就労前に彼女が働きやすい環境整備は必須な事項でした。彼女自身も慣れない空間で過ごすため、自ら伝えて環境整備に努めていました。ただ、高齢者が利用する施設なので、衝突や危険なことが起きていないか心配な気持ちはいつも心のどこかにありました。
しかし、久しぶりに拝見した彼女の姿は驚くべき光景でした。まるで蜘蛛の巣をくぐるように高齢者にぶつかることなく歩いていました。何か床に目印を付けているのかと思い探しましたが、何もありません。どうして見えているかのように移動できるのかと思い、彼女に尋ねました。
「それは、周りの職員や施設の利用者さんから、危ない時は声をかけてくれたりするからです。」と、答えてくれました。それはまさしく彼女が施設の職員として認められていること、利用者さんから信頼されている証でした。
視覚障がい者が進路先の環境にフィットするまでには、個人差もありますが、多くの時間を要します。さらに、配慮事項を含めた環境整備を伝えたからといって、長く働けるとも限りません。やはり必要なのは、その人の人間性、向上心、感謝の気持ちを持ち続けることだと思います。進路指導において、環境整備も大事ですが、一番大切なのは心の部分ではないかと感じます。卒業後の進路に携わる者として、型にはまらないよう進路支援を進めていきたいと思います。
【R7年度進路指導部職員紹介】
中学部 鈴木 思子(すずき けいこ)(副部長)
高等部 齋藤 賢一(さいとう けんいち)(部長)、吉田涼佳(よしだ すずか)、ギミレチティズ
以上4名の職員を中心にして、本校児童、生徒全員の進路支援に努めて参ります。今年度もよろしくお願いいたします。
●高等部普通科2組前期実習
高等部普通科2組は、6月16日(月)からいよいよ前期実習が始まりました。生徒3名、10日間それぞれの仕事をやり続けます。1年生は校内実習、2年生は校内と校外実習、3年生は校外実習と学年に応じて分かれます。3名が定めた目標の達成に向けて、職員一同、サポートしていきたいと考えております。次の進路だよりで、紹介させていただきます。
●今後の行事予定
11月5日(水)13:30~14:30
保護者進路学習会
内容:福祉サービス利用
多数のご参加お待ちしております。
最後に・・・
進路に関する相談等、ありましたら、担任をとおしてお伝えください。早期から進路を考えることは大切です。
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