岩手県立盛岡視覚支援学校
進路だよりNo.1
令和6年5月31日発行
進路指導部
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働くとは「幸せなこと」
進路指導主事 齋藤 賢一(さいとう けんいち)
本校は社会人半ばで視覚障がいとなり、再び社会で働くために入学される方が数多くいます。家庭を支える方も多く、まさに死に物狂いで勉強して、国家資格取得、一般就労を目指します。
進路担当として、今でも忘れられないAさんという方がいました。Aさんは、誰からも頼られる存在で、日々の学習はもちろん様々な行事や職場実習にも、一生懸命に取り組む生徒でした。働き盛りの年代に視覚障がいとなり、働くことが困難になると、誰でも精神的ショックは大きいと思われます。しかし、Aさんは、何十年ぶりの学校生活を、毎日楽しんでいるかのような印象でした。
無事に国家資格を取得し、就労の切符を手に入れましたが、進路担当の私は卒業までに就職先を探すことができませんでした。非常に心苦しかった私を、Aさんは一切責めませんでした。
視覚障がい者の就労で、私が一番大事だと感じるのは、職場環境や労働条件もありますが、自宅から自力で通勤できることだと思います。Aさんは、強度弱視の方でしたが、卒業して2カ月後に自宅からバスで通える職場が見つかりました。その時、私が印象に残っていることとして、Aさんにお渡しした求人票の中身は、決してよい条件ではなかったのですが、彼にとっては、働ける喜びが大きく、一切不満を口にしませんでした。社会で働くのは6年ぶりだと、目を輝かせていたAさんの顔が今でも忘れられません。
しかし、仕事が軌道に乗っていた矢先に、Aさんは大病を患って入院することになりました。私は、きっとAさんは間違いなく復帰するだろうと連絡を取りませんでした。そして月日が経過し、就労先の職員から本校へAさんが昨日、亡くなったと連絡がありました。非常にショックでした。何で連絡をしなかったのかと自分を責めました。わずか一年にも満たない就労期間に彼が職場に残したものは、デイサービスを利用する一人一人のデータをまとめたファイルでした。そのファイルは現在、後輩が参考にして、利用者の方へ施術しています。先輩から後輩へと自然に受け継がれたものでした。
生徒一人一人の卒業後の進路に携わる者として、何が幸せなのかを考えながら進路支援を進めていきたいと思います。今年度もよろしくお願いいたします。
【R6年度進路指導部職員紹介】
中学部:鈴木 思子(すずき けいこ)(副部長)、松本 知夏(まつもと ちか)
高等部:齋藤 賢一(さいとう けんいち)(部長)、ギミレ チティズ、小野寺 広子(おのでら ひろこ)
以上5名の職員を中心にして、本校児童、生徒全員の希望進路の実現に向けて、取り組んでいきます。どうぞよろしくお願いいたします。
●高等部普通科2組前期実習
高等部普通科2組は、6月3日(月)からいよいよ前期実習が始まります。生徒2名、10日間それぞれの仕事をやり続けます。毎日体力・気力・集中力、その他にも求められることも多いかと思います。それぞれが定めた目標に向かって、職員一同、サポートしていきたいと考えております。次の進路だよりで、紹介しようと考えております。
今後の行事予定
9月27日(金)進路講演会
11月15日(金)保護者進路学習会
内容:福祉サービス利用
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