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平成27年度卒業式 校長式辞 3/1

 

いまだ冬の厳しさは残るものの、ここ希望ヶ丘の梢たちも春を迎える準備をすっかり終え、暖かい日差しを今か今かと待つ弥生三月となりました。

本日ここに、紫波町長 熊谷 泉様をはじめ、多くのご来賓のご臨席を仰ぎ、平成27年度岩手県立紫波総合高等学校卒業証書授与式を挙行できますことは、教職員一同、誠に喜びに堪えません。これもひとえに、皆さまからの温かいご指導の賜物と厚く御礼申し上げます。

また、保護者の皆さまにおかれましては、心よりお祝い申し上げます。これまで、雨の日も風の日も、その成長を見守り、手塩にかけて育ててこられたお子様の晴れ姿を目の当たりにし、感慨もひとしおのことと存じます。

そして、ただいま卒業証書を受け取られた165名の卒業生諸君、卒業おめでとう。皆さんは、三年間の精進のかいあって本校の教育課程を修了し、本日めでたく巣立ちの日を迎えました。

思えば三年前、皆さんは私が初めて本校への入学を許可した生徒諸君でした。東日本大震災から二年を経過し、岩手県内も少しずつ復興の動きが本格化し始めた頃の入学でありました。以来、「知をもとめ こころ豊かに たくましく」の校訓の下、勉学に部活動に学校行事に、そしてボランティア活動にと励んできた青春の日々であったと思います。

今年の卒業生諸君は、例年にもまして、実に立派でした。

まず取り上げたいのが、学力向上に対する取り組みであります。今年の三年生諸君から始まった全員朝課外。四月から7時50分には登校し、それぞれの進路に向けて学習に取り組む活動ですが、列車通学生の中には、朝6時前に家を出なければならない人もいたと思います。それにもかかわらず、本当に良く取り組みました。また、保護者の皆様のご協力にも心から御礼申し上げます。この取り組みは例年以上の進路実績に結びつき、皆さんの自信になるとともに、後輩にも良い影響を与えてくれるに違いありません。

また、今年の三年生は学校行事も盛り上げてくれました。全校で楽しい汗を流したスポーツ大会、地域の方々が沢山来てくれた文化祭、苦心の研究作品が披露された課題研究発表会等々、皆さんの活躍は本当に素晴らしいものがありました。加えて秋に行われた、大槌高校、山田高校を招いての復興交流学習会では、各校の復興状況の報告を聴き、サッカー、バスケット、バレーボールの交流試合も行われました。相手校の皆さんにも大変喜んで頂きました。

次に部活動であります。伝統の自転車競技部では、個人では、丹内朋紀君の「紀ノ國わかやま国体」におけるケイリン全国5位を筆頭に素晴らしい頑張りをみせてくれました。チームとしても、高総体県大会優勝、東北大会総合4位、インターハイにおいてもチームスプリントにて6位入賞するなど、本年10月に地元紫波町で開催される「希望郷いわて国体」自転車競技でのメダル獲得に向けて、大いに期待が膨らむ結果を残してくれました。

そのほか、13に及ぶ運動部全てにおいて、その持てる力を十二分に発揮しました。その中でも特筆すべきは、野球部の夏の県大会、三年ぶりの一勝とその時の応援団とブラスバンドの見事なコラボレーションによる全校応援は昨年にもまして素晴らしいものでした。さらに男子ハンドボール部が高総体準々決勝、県下の強豪盛岡一高と大接戦を演じ、その素晴らしいプレーが大いに賞賛を浴びたことも嬉しいニュースでした。

一方、吹奏楽部や郷土芸能部をはじめとする11の文化部もそれぞれの大会はもちろん地域のイベント等への参加・出品・入賞によって大変、本校の評価を高めてくれました。

さらに地域の行事、ボランティア活動等については、部活動に限らず、年間で延べ550名を上回る実に多くの、生徒会をはじめとする自主的ボランティアの皆さんの参加があり、大いに活躍してくれました。これについて、主催者や地域の方々から多大の感謝の言葉を頂いております。特に今年度は茶道部、吹奏楽部、郷土芸能部の活動によって、紫波町の「安全・安心のまちづくり」への協力として、岩手県知事より表彰を頂きました。年々盛んになるボランティアは、素晴らしい伝統となりつつあります。

さて、本日、皆さんの「人生の旅」の門出の佳き日にあたり、餞(はなむけ)の言葉を贈りたいと思います。

岩手の誇る先人、新渡戸稲造博士は、その『修養』という著書の中で、人間が生きていく上で大切な「四つの力の貯蓄」ということを述べています。その四つとは、まず第一に金銭の貯蓄であります。これは何も闇雲に唯々お金を貯めればよいというのではなく、節度ある生活を心がけ、先の見通しをもってきちんと貯蓄すべきだということです。「貯蓄心のある人は物事に対して綿密で何事もおろそかにしない」と博士は自戒の意味を込めて述べています。どんな時もお金は大事なものです。

二つ目は体力の貯蓄です。その日その日の感情にまかせて体力を使ったり、粗末な食事しかとらず、鍛えるべき時に鍛え、貯蓄すべき時に体力をつけておかないことは、後日大切なときに役に立たなくなる。精力旺盛な青年たちこそ、その精力を大切に貯蓄して、後日、大きな目的のために利用することを心がけるべきである、と博士は言っています。

三つ目は、知識の貯蓄です。しかし、これは単に知識の量を増やすということではありません。いざというときに役立つ、本来の「知の力」「知力」の貯蓄です。蓄えた知力はどんな時に役立つか分かりません。けれど、きっと役に立つ時が来ます。そうした知識を養い蓄えるには良書を読み、有益な話を聞き、自分以上の人と交わり、時には静かに黙想し、心の蔵の中に深く入れることが大切だということです。

しかし、知識の貯蓄よりも一層大切なものがあります。それは、四つ目、徳の貯蓄です。「徳」というのは簡単に言えば、善い行いのことです。人間は、善を為そうという心と、それを破り悪を為そうという二つの心をもっています。その葛藤の中で生きているといってもよいでしょう。そんな中で少しでも過ちを改め、善い行いを重ねていけば、沢山の徳を積んでいくことができます。この徳の貯蓄ということは、貯蓄の中で最も大切なものだと博士はいっています。落ちているゴミを拾うことでもいいでしょうし、人に明るく挨拶をするだけでも、立派に徳を積んだことになるのです。

「金銭=経済力」「体力」「知力」そして「徳力」。これら四つの力こそ、これからの皆さんの人生に於いて蓄積すべき力であります。そして、もし忘れたり、迷ったなら、本校の校訓をもう一度思い出して下さい。

「知を求め こころ豊かに たくましく」。これは、「知・徳・体」の三つが入っている素晴らしい校訓なのです。そして、これらのバランスのとれた人間は必ず、経済力もついてくるのです。

卒業生の皆さん、皆さんの本当に楽しく素晴らしい人生は、これから始まるのです。決して、後ろばかりを振り返ったり、歩みを止めてはなりません。今年のスローガンは「感謝の心をもって 課題への挑戦」でした。これからも、今、生かされているこの命に、感謝の心をもって、どんな試練も乗り越えて、一生懸命、生きていってください。幸運を祈ります。

終わりに、本日ご臨席いただきました全ての皆さまに重ねて感謝いたしますとともに、卒業生諸君が豊かで幸多き人生を送れますよう、末永くご指導を賜りますよう心からお願い申し上げ、式辞といたします。

平成28年3月1日

岩手県立紫波総合高等学校 校長 田中 耕之助

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