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冬休み前授業納め式 校長講話 12/22


 冬休み明け授業始め式校長講話(H28.1.13) 
                                                     校長 田中耕之助

皆さん、明けましておめでとうございます。今年もこうして元気なみんなに会えたこと、とても嬉しく思います。

さて、突然ですが本校の校訓は何だったでしょうか? そうです。

「知を求め、こころ豊かに たくましく」です。これはみんなに将来、大きな人間、強く優しい人間になってほしいということです。そこで、今日は国際人であり教育者である新渡戸稲造先生のお話をします。

新渡戸稲造先生は、1862年盛岡に生まれましたが、その祖先はさらに400年も前に花巻に移り住んでおり、はっきりこの近辺の出身だと言えます。先生の「我太平洋の橋とならん」という言葉はみんなも知っているでしょう。あれは先生が札幌農学校卒業後、東大に入り直すとき、「どうして英文学を勉強したいのか」と試験管に尋ねられ、「私は太平洋の架け橋になりたいのです」と答えたのが、あの有名な言葉なのです。それをまず実現したのが英語で書かれた『武士道』(BUSHIDOThe soul of Japan)という本です。日本人の持っている高尚な精神を世界に紹介し、日露戦争後の我が国を救ったといわれる本です。また、国際連盟の事務次長を務め、世界平和に一生懸命、力を尽くした人です。

また教育者としても素晴らしい方でした。今日は時間がありませんから、詳しくは紹介しませんが、四年十ヶ月前の東日本大震災津波の後、設立された「いわての学び希望基金」はこの新渡戸先生の精神を受け継ぎ創設されたもので、被災された子供たちの希望と未来を創るために役立てられています。

私もいろんなご縁をいただいて、新渡戸稲造先生の著書や研究されている方に親しんできました。今日は、その中から我が愛する紫波総合高校の皆さんに伝えたい言葉を準備してきましたので、それについて一緒に見ていきましょう。

今日のテーマは「克己」ということです。「己に克つ」ということで簡単に言えば、様々な困難にあってもそれを乗り越えていけるような、強く大きく、人には優しい人間性を磨くためにはどうしたらよいか、ということです。

それでは読んでみましょう。これは『武士道と修養』という本からの抜粋です。

 

「僕が克己心を培うために実践していること

克己心を修養する場合、最初から大きなことを目指し、難しいことを選ぶのはよくない。毎日出合うことで、少し心がければできるくらいのことから始めるのがいいだろう。以下に、普通の人を対象に、普通の方法でできることをいくつか挙げてみる。

【一、早起きの習慣】朝寝の人が早起きをすること。眠いとき、寒いとき、嫌だと思っても我慢して起きる。これは克己の第一歩である。

【二、弱点の矯正】フランクリンは自分の弱点を十三カ条挙げて、日々の自分の行為を反省したという。僕も青年のころ、自分の弱点数カ条を表にして、毎日それに点数をつけ、弱点の矯正に努めた。

【三、せっかちの矯正】せっかちな人は時間を決めてゆったりする習慣をつけるといい。たとえば食事が早すぎる者は、飯をかき込もうとするとき、自分が気をつけなければいけないのはここだな、と思って改める。これを繰り返していくといつの間にかせっかちは矯正される。

【四、憎悪の感情】僕も以前、人を見て嫌な気がしたり(しゃく)にさわったりすることがよくあった。そこで人に対して嫌な感情を抱いたときは、その人についていろいろな想像をしたり、努めて彼の長所を見ることにした。そうした努力を続けているうちに、後にはそうした感情が生じなくなった。

【五、怒りの抑制】僕は札幌農学校で教えていたころ、学生が気にさわるようなことをしても決して怒るまいと決心した。そこで教室に入るとき、扉のノブをつかみ、「生徒は大切である。たとえ無礼なことがあったり気に入らないことがあっても、必ず親切に導かなければならない」と自分に言い聞かせ、なるべく怒らないよう心がけた。

【六、他力による修養】ある学校の寄宿舎では、同室の数人で、仲間の間では決して他人の悪口はいわない、自室内では決して野卑な話はしない、という取り決めをした。このように互いに約束することは、面目にかけてこれを履行するという気持ちにさせる。このように他力を借りて互いに克己するのも一つの方法である。

剣術を習う人は、棒をぶら下げてこれを敵と見なし、打ち込みの稽古(けいこ)をする。相手は一本の棒にすぎないが、これを相手に稽古を積んでいれば、とっさの場合に立派に応用することができるのだ。

 僕が右に箇条書きで述べたことも同様である。いずれも些細なことであるが、その一つに通じれば、ほかの方面にも応用することができるのだ。一条ずつでもよい、自分がぶつかったことから着手するのがよいだろう。」

       ――『武士道と修養』新渡戸稲造著 実業之日本社編より(注)

 というものです。

私は、これを読んで、自分を磨くということは、いつの時代にもどんな所で生きていても本当に大切なことなんだと思いました。新渡戸先生はまた別の著書で「すべて力の源は見えないところにある。人の五臓(心臓とか肝臓とか)も表に見えない。目立つ桜の花は春の一時の栄え、地下の根は冬来たりても死なない。」―つまり木の力の根源は見えない根っこにあるのだと言っているわけです。そして、人間として最も大切なのはやはり目に見えない「心」「心がけ」なわけで、その心を毎日鍛えていかなければならないといっています。先ほどの「克己心」のように。

 さらに、人間がこの世に生まれてきた目的は人のために尽くすことだ、とも言っています。自分が生まれたときから死ぬときまで、自分の周囲の人が少しでもよくなれば、それでこそ自分が生まれてきた甲斐があるというものだと言うのです。

皆さんはこれから生きていく人たちです。どうかこうした大きな人間を目指してほしいです。

私は皆さんのことが大好きです。いろんな所に行って、いろんな方から紫波総合高校の生徒さんは良いですねといわれます。優しくて、明るくて、本当に私は幸せです。3日の日に盛岡八幡宮に初詣に行って来ました。受験生の絵馬を見たら、盛岡一高とか三高というのもありましたが、ちらっと見ただけで、第一志望校「紫波総合高校」絶対合格というのも三枚見つけました。全部くわしく見たわけではありませんが、とっても嬉しかったです。

 

いずれ、紫波総合高校で学ぶみんなが、少しでも大きな人間、強く優しい人間になってほしいと思って今日は、新渡戸先生の言葉を紹介しました。 

新渡戸先生の言葉は本当に素晴らしいものがあります。そこで、みんなにこれから毎日すこしずつ学んでいってほしいと考えています。具体的には、朝学習の時間を使って、新渡戸先生の言葉を書写し、自分の生きる糧としてもらいたいのです。毎日、素晴らしい言葉に出会い、自分の力の源にしていってください。

今年はさる年ですが、そういうことを続けることによって、「悩みも迷いも去る年」になれば良いなと思っています。このことについては後で、それぞれの学年から指示があると思いますので、それに従って、頑張って下さい。

三年生は高校生活あとすこしです。是非残りの時間を有効に使って、最後、卒業式には立派に飛び立って行ってほしいと思います。一年生、二年生はそれぞれの次のステージに向かって努力をしていって下さい。

みなさん、今年一年を、「自分を、特に自分自身の心を磨く年」にしましょう。                  元気に頑張っていきましょう。  終わります。

 

 

 

 

(注)編集著作物使用許諾(H28.1.13)

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