スーパーグローバルハイスクール

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3月21日(火)
 8:00に寮内のエントランス集合。体調不良者はなし。
 午前中、最後のインターナショナル・クラスを受講。
 徐々に仲良くなってきた異国のクラスメイトと机を並べ、素晴らしい教員リサ、ジュリー、マイケルの授業を受けられる最後の日。一抹の寂しさを感じる。
 3コマ目の授業を早退きし、12:05にはカフェテリアで昼食を取る。
 12:45にチェスナット・ヒル駅へシャトルバス特別便で向かい、グリーンラインDに乗車。パーク・ストリート駅でレッドラインに乗り換え、ハーヴァード駅で降車。

 本日はハーヴァード大学の幹細胞研究所を訪問し、Nが所長のブロック・リーヴ氏と日本の文部科学省から院生として派遣されている森祐介氏を相手に、 "Possible Prevention of Hypertension of Residents in My Home Region by Using Umami" と題してプレゼンテーションを行う。
 本研究所は、蝦名氏がかつて共同研究を行なっていた場所で、リーヴ氏とは知己の仲。
 Nは岩手県の高血圧の割合が、特に西日本と比べて高いことの主因が塩分摂取量の高さにあると、データに基づいて説明。西日本の食文化においては伝統的に出汁が重宝され、味覚の内の「旨み」成分が「しょっぱさ」よりも重視されている点に着目。岩手県を含む東北地方の塩分過多を、出汁文化を導入することで解決に繋げたいといった趣旨の提案を行う。
 リーヴ氏は研究所をあげて、特に糖尿病患者に対する幹細胞を活用した治療方法を模索しているが、「患部を薬で抑える、メスで切除する」という西洋医学的発想とは逆の、東洋医学的予防医学的なNの発想に高い関心を寄せ、糖尿病対策の重要なアプローチの一つになりうると絶賛してくれた。昨晩も遅くまで発表練習に取り組んだ苦労が報われ、嬉しい限り。後日、研究を深めるための助言をメールでくれるとのこと。
 次に森氏が、現在取り組んでいる生命倫理に関して、要約的に説明してくれた。ES細胞の医学における活用は生命の尊厳を犯す恐れが高いこと、iPS細胞も精子と卵子を個別に生み出し、それらが受精した場合には同様の恐れがあることといった、現在のホット・トピックスをわかりやすく教えてくれた。
 リーヴ氏は幹細胞研究の概論と当研究所が主として取り組んでいるプロジェクトの概要を説明。内容が高度に専門的でしかも英語による説明であったため、生徒達は理解することもままならなかった模様。しかし医学を志すNやT、そして生物学に関心が高いOやNが、最先端医学に少しでも近付こうと懸命に聴き取ろうとする様が、非常に喜ばしい。
 その後、生徒達は二組に別れて地下の研究室を見学。一方は検体として重宝されている魚の繁殖を行なっている場所、そしてもう一方はiPS細胞を培養している場所を見学した。後に見学場所を交代。
 Oが後者で、遺伝子工学に携わるには、どうしたキャリア・プランを立てるべきかと研究チームのチーフと思われる女性研究者に助言を求めると、丁寧に説明をしてくれた。iPS細胞の基礎研究を臨床に活かす領域は、今後の医学の発展に最も強い影響力を持つはずである。いつか一緒に研究できたらいいね、との温かい激励をもらい、モチベーションも高まる。難解だけれども非常に知的好奇心を刺激してくれる貴重な訪問であった。
 最後に大学生協でお土産を購入する時間を取り、17:30には地下鉄を乗り継いで帰寮。
 夕食後20:00より明日の打ち合わせを全員で行った。その後女子の発音矯正のため、練習を22:00まで行う。
 夜遅くまでプレゼンテーションの練習や人生に関する議論などで、ラウンジは賑わった。

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