LD(学習障がい)について


1 学習障がいとは

知的障がいの子どもと学習障がいの子どもは、発達に遅れがあるという点で似ているためよく間違われることがあります。
知的障がいの子は、発達の多くの面で同じ年の子と比べると遅れています。しかし、学習障がいの子は、全体的な遅れはなく、ある部分に限られています
発達に偏りがあり、順調に発達している部分とそうでない部分があるため、学齢期になって集団での学習が始まる頃に発見される場合が多いです。

学習障がいの原因は、中枢神経系に何らかの機能障がいがあると推定されており、視覚障がい、知的障がい、情緒障がいなどの障がいや、環境的な要因が直接の原因となるものではありません。
学習障がいの定義は
「学習障がいとは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得とその使用に困難を示す様々な状態を指すもの」
                           
(文部科学省:学習障がい児に対する指導について(報告)H11.7.2)
とされています。

(註)上記の定義は、教育学的な立場で言われている定義です。
神経心理学的な立場、医学的な立場によって定義が若干異なりますが、「部分的に苦手なところがある」という点では、共通しています。
早期発見のためのポイント○
幼児期では、ことばの発達の遅れや偏りが見られ、手先が不器用で運動が苦手です。又、落ち着きがない、みんなと遊べない等の特徴が見られます。
保育園や幼稚園では、知的な遅れがないのに、はさみや折り紙、のりづけができない、ボタンのかけはずしがなかなかできないなどから、発見につながることもあるようです。

学齢期では、集団場面での指示理解の悪さ、基礎学力面のつまずき、学習態度面での問題(離席等)、整理整頓の悪さ、集団行動が苦手なことなどがみられます。
学習障がいは、男の子の方によくあらわれます(ほぼ4:1の割合)。そのため、元気でわんぱくな子と勘違いされることも多いようです。

しかし、上記に述べたような子が全て学習障がいというのではありません。
正確な診断は、専門家によるいろいろな検査をしてからでないとわかりません。
学習障がいの診断をするのは、その子がわからないのは、なまけていたり注意不足だったりするのではないこと、なぜそうなるのか原因をはっきりさせて、周りの人に正しく理解してもらうためです。 また、その子に合った学習方法を考え、理解しやすいような教え方や話し方を工夫し、教材等を整えるためなのです。
学習障がいの子は、100人に2人〜5人いるといわれます。
日本では、学習障がいへの理解が不十分なため、一人一人の子にあった教育ができていないことが多いのですが、アメリカには250万人以上もの子どもが学習障がいに適した教育を受けています。 大学に進学している人もたくさんいます。


2 学習障がいの子への教育

その子のタイプにあった教え方、学び方が必要です。
学習障がいの子はすべてにおいて苦手なのではありません。
部分的に苦手なところがあるために、他の子と同じやり方で教わっても理解できないだけです。
 
適切な支援をせずに、そのままにしておくと、教科学習に問題が生じるだけでなく、他の領域にも悪い影響を与えかねません。従って、できるだけ早期に対応をはじめることが大切です。
学習障がいの子どもは、発達に部分的な偏りがあるというだけなので、苦手なところをわかりやすく繰り返して学習することで、だんだん覚えていくことができるはずです。

得意な所ばかりを伸ばそうとすると、その子の個人内差(出来ることと出来ないことの差)が広がる一方になり、本人の為になりません。

苦手な部分には特別な配慮をしながら、ゆっくり、じっくりとやさしい目で接していきましょう。 

教科のつまずきへの早期な対応が遅れると問題は徐々に深刻化していきます。本人が努力しても成績が上がらない状況は、学習態度や意欲にも影響がでます。子どもに自信を失わせ、学校への不適応感が強くなっていくこともあります。
ただし、全体的な遅れが見られないことに加え、出来ることと出来ないことの差(個人内差)が大きいので、自尊心を傷つけないよう配慮してください
●指導ポイント●
・学習面では、遅れているところやわからないところを把握した上で、すべてを一度に教えるのではなく、少しずつステップアップさせながら指導します。
 手本や板書の工夫、思考の過程の言語化、ポイントの明記、個別な注意の喚起を心がけましょう。
 
板書事項や教科書をノートに書き写したり、読んだりするのが苦手な場合には、
ポイントとなる場所へ磁石を置くなどの工夫によって、学習しやすくなります。
漢字の指導などでは、指書き→なぞり書き→写し書きという流れで、書き順を言いながら練習させることも有効です。
 「耳からの情報」、「眼からの情報」を適度に入れながら行うことがポイントです。
・身だしなみや整理整頓への指導は、プライドを傷つけないように配慮しながら、少しずつ具体的な手順を示したり、写真などで手本を示す等工夫して、何をどのようにすればいいのか、本人がわかりやすいように指導します。

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平成30年4月 支援センター部更新
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