令和5年度 学校評価アンケート結果について
岩手県立盛岡視覚支援学校
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1 はじめに
・アンケート回収率(幼児児童生徒100%、保護者100%、学校職員・事務現業職員100%、寄宿舎指導員100%。
・回答を「とてもそう思う(R4そう思う)」、「そう思う(R4だいたいそう思う)」、「あまり思わない(R4あまりそう思わない)」、「全く思わない(R4全くそう思わない)」と文言修正を行い、より回答を明確なものにした。そのため慎重に評価をし「そう思う」と控えめな評価につながった面もあると思われる。そのため昨年度との比較として載せているが参考数値としたい。
・質問項目に新たに「学校生活は楽しいか(充実しているか)」を加え学校生活全体の満足度を盛り込んだ。また、復興防災教育、災害への備えを一つの項目とした。職員へは働き方改革への意識について図る項目を設けた。
・評価の平均が3.0(4.0が最高)を下回る項目は昨年度に引き続きなく、全体的に肯定的な結果となった。
・前年度と比較して、0.2ポイント以上の増減がある場合は、「?」「?」を付けて表している。今年度に関しては回答項目をみなおしたことから全体的に低いポイントとなっているが、おおむね「とてもそう思う」「そう思う」の肯定的な回答が多く見られた。母数の少なさもあり、ポイントの増減だけではなく、個々の意見を丁寧に見て判断する必要があると思われる。早急に取り組むことができる項目もあり、年度内に改善できるものについては、着手していきたいと考える。
・以下、対象者別に結果を示す。要検討事項を「●」要改善事項を「〇」で表した。
2 学校職員自己評価について(回答者数49名。昨年度は51名)
・前年度に比較し、ポイントを下げた項目がほとんどである。
・14項目において「全く思わない」の回答が1ポイント(R4 2項目)、22項目において「あまり思わない」の回答が61ポイント(R4 20項目55ポイント)と増加している。これは各設問が「私は、本校は(では)」で始まるのため、項目によっては個人が内容をわからないために「できていない」といった否定的な評価につながった面あると思われる。
・最も低い評価で否定的な評価が9ポイントだったのは【№22私は、本校は人材育成を推進し、教職員の指導力向上を図るためOJTによる指導に努めていると思う】である(0.2ポイント下がり3.0)。とてもそう思うも唯一1桁の8ポイントであった。点字指導や歩行指導など専門性の維持継承について不安を感じる意見が複数みられる。
・2番目に評価が低く否定的な評価が8ポイントだったのが【№10私は、進路に関する情報を児童生徒、保護者へ提供している】であった(マイナス0.1ポイント3.1)。ただし下げ幅は低く、実際に卒業学年を担当するなどしていないと評価が難しい面も感じられる。
・【№20 私は、本校は視覚障がい教育のセンター的機能として積極的な支援、相談・啓発活動に努めていると思う】が3.6(昨年3.7)【№23 私はコンプライアンスの徹底に努めている】は、3.6(昨年3.8)で昨年度同様、職員の意識の高さが表れていた。
〈要検討・改善事項〉
●評価項目の「私は、本校は・・・」で始まる設問を「本校について」等の表現に変えることを検討する。
●教員の専門性の継承、組織での人材育成について
・自由記述にもあるように、職員の専門性をいかに維持、継承していくかの具体策が必要である。計画的な研究授業等の実施、外部講師等による授業参観・助言、可能な範囲でのTTによる授業、実効性のあるOJT、Off-JTの推進、外部支援に全職員があたることによる専門性の必要感の意識化、児童生徒、職員の減少に伴い校務分掌の組織の工夫が考えられる。また、OJTと校内研修の考え方など整理しわかりやすくする必要性も感じられる。
●給食時の盛り付け作業について衛生面から調理員が行うのか、学習面から児童生徒が行うのか検討する。
〇同世代の生徒との交流
児童生徒数の減少による子供たち同士の学びあいの経験不足や大人(教師)の手や目が多く適正な支援の在り方についても課題として挙げられている。交流籍を活用した交流及び共同学習、保育園・学校間交流、オンラインを活用した全国、東北の視覚支援学校とのつながり等、様々な機会をとらえて同世代の児童生徒との交流、意見交換を行う。
〇業務の偏り、特定の個人への負担についての意見が出されている。業務の偏りがないか、個人でする業務やチームとして分担できる業務、引き継ぎながらお互いの負担を軽減できる業務などがないか検証する。学校運営は全職員の力を集結して達成できることを皆が意識し、自分でできること、協力をお願いすることなどお互い様、感謝の気持ちを持ち、みんなで声を掛け合い助け合い協力できるようなチームとしての職場づくりを行う。
3 寄宿舎指導員自己評価について(回答者数18名。昨年度は17名)
・学校職員同様にほとんどの項目で昨年度よりポイントが低くなっている。
・昨年度評価が上昇した項目の【No.9 私は、舎生の障がいの状態に配慮した指導を心掛けている】(3.8→3.3)と一昨年と同程度となった。
〈要検討・改善事項〉
●専門性の向上
・【№18 私は、校内外の研修や研究活動に参加し、専門的力量の向上に努めている】に関して、昨年度同様に否定的な意見が多かった。→学校職員アンケート結果と同様に、校内外の研修の工夫を行うことが必要である。また、当直専門員が回答に入っており消極的な評価につながった面もあると思われる。
〇学部の連携について
・学びの連続性、学部の引継ぎについて問題提起がなされた。具体的な内容を精査し、日ごろからの学舎の連携(朝の引継ぎ等)や連絡会を有効に活用する。
4 事務・現業自己評価(回答者数13名。昨年度は8名)
・昨年度に比べ、減少した項目は10項目見られるがすべての項目で肯定的な意見がほとんどである。
〈要検討・改善事項〉
●昨年度に引き続き学校技術員の常勤職員を2名にしてほしい、との要望がある。→次年度の定数の問題等も踏まえて検討する。
5 保護者アンケート(回答者数22名。昨年度は25名)
・昨年度の保護者アンケートでは、前年度に比べ、10項目において上昇していたが今年度は1項目【№23 寄宿舎指導員とは話しやすい雰囲気になっている】のみ0.1ポイント上昇している。0.2ポイント以上減少した項目は7項目あるが他のアンケートに比べ少なく下げ幅も0・3ポイントまでに収まっている。
・最も評価が高い項目が【№21 お子さん(ご家族)をこの学校に入学させて良かった】であり、様々なご意見や評価をいただきながらも肯定的な意見をいただけたのは本校への期待の表れではないかと考える。
・昨年度に引き続き、「評価1」(全くそう思わない)との回答はなかったものの、「評価2」の項目が10項目(R4 4項目)あった。複数(2~3名)が評価したのは【№10必要な進路情報を幼児児童生徒や保護者に適切に提供し、きめ細やかな進路指導を行っている】【№12 学校は幼児児童生徒の学習の様子や健康状態等をきめ細かく連絡している】【№20 本校のホームページ・ブログはわかりやすく、タイムリーに情報を伝えている】の3項目であった。どれも情報提供の内容で日ごろの様子を口頭や連絡帳、ホームページ等で丁寧に伝えていくよう取り組んでいくことで、お互いの必要とする情報を確認しながら信頼関係の醸成を図る継続的な取り組みが必要と考えられる。
〈要検討・改善事項〉
●冬季間の登校時間の引き渡しについて
冬季間の雪道、渋滞から保護者の出勤に不安を抱えての相談と思われる。若干の受け入れを早めることが可能かを学部で検討する。実施する際は他の保護者への説明を丁寧に行う。
●芸術鑑賞への保護者の鑑賞について。
芸術鑑賞の計画や内容を見ながら検討し説明する。
●「スキー教室、畑の学習について復活させてほしい」については各学部の学習内容を総合的にみながら必要か検討し丁寧に説明する。
●保護者からの連絡方法について
日中、共働きなどの理由で、学校(管理職)への連絡が難しい保護者からの意見や質問の窓口としてメール等での受け入れが可能か。すぐメールに代わるマチコミでの受け入れが可能か検討する。
●オンラインによる面談は状況に応じて相談しながら検討する。
〇評価の4段階について、評価が難しい場合の回答方法として「わからない」「どちらともいえない」等を加える。
〇年度替わりの児童生徒の引継ぎについて。
担任や担当が変更する際には指導内容や方法、児童生徒の学習の様子など文書等で確実に引継ぎを行い、年度初めの指導計画に反映させる。年度初めの個別の指導計画の説明の際に内容について保護者と確実に共有する。
〇進路に関する情報は適切な時期に情報提供を伝えるよう確認する。
〇寄宿舎にポータブルのWi-Fiが入ったことをお知らせする。
○引き続き保護者との信頼関係の構築
保護者への言葉遣い、伝え方(対面、電話、連絡帳など)の工夫、丁寧な説明(誤解を生まない話し方や、ポジィティブになるような声掛けの工夫、複数での対応・確認など)など、より誠実な対応を心掛ける。
6 幼児・児童アンケート
〔幼小学部〕(回答者数7名。昨年度は5名)
・ほぼ前年度と同じ評価であった。
・前年度に比べ0.2ポイント以上、減少している項目は2項目【№2勉強はわかりやすいですか3.9→3.6】【№11盛岡視覚支援学校に入ってよかったと思いますか4→3.8】であった。
・昨年度ポイントを下げた【№5先生はあなたが困ったとき、相談に乗ってくれますか】(R4 3.8→3.6)については3.6→3.8へ上昇した。
全体を通して肯定的な回答のみであった。
〈要検討・改善事項〉
○児童理解と支援の最適化
・児童への聞き取りによる回答である。今後も学校が楽しい、先生は優しい等、肯定的な回答が得られるよう、それぞれの児童に寄り添った支援を心掛けていく。
7 生徒アンケート
〔中学部〕(回答者数4名。昨年度は3名)
・計16項目で否定的な回答をしている生徒がいるものの、否定的な評価について昨年度に比べ緩和されてきている。昨年度に比べ5項目でポイントが下がったが6項目において上昇している。中学部は在籍数4名と少人数であるため一人の回答で大きくポイントが変動する。
・昨年度に続き、学校、寄宿舎に対する不満が感じられるような記述があった。
〔高等部〕(回答者数13名。昨年度は16名)
・前年度に比べて11項目においてポイントが下がっている。特に【№2授業の内容はわかりやすいですか】は3.7→3.2と0.5ポイント、最も大きくポイントを下げている。
・【№5学校では命の大切さについて考える学習をしていますか】【№9学校では災害時の備えや行動について学習していますか】についてホームルームや避難訓練等で行っており、学習を行う際にはわかりやすく、より意味を丁寧に説明し理解できるようにする必要がある。
・【№3先生は授業であなたがわからないところをていねいに教えてくれますか【№4先生は授業の中で見え方や見えにくさに配慮してくれますか】【№8先生はあなたが努力したことや頑張ったことを認めてくれますか】についてはすべて肯定的な意見が出されている。
・学校内の中で危険と感じる場所については、階段、非常階段、段差、臨床棟の1~2階の階段(壁が途切れる)、昇降口の内側のドアが閉まっているのかわかりにくくぶつかるといった意見が出された。
〈要検討・改善事項〉
●生徒理解と適切な支援の必要性
否定的な回答が多くみられた生徒が複数おり、多様な生徒それぞれの言動や心情、障がいの状況等についての理解を深める必要がある。指導に当たっては職員間の共通理解、情報共有を図りながら、引き続き丁寧な対応を心掛ける。保護者との連携、SC等の外部機関への相談等、当事者の視点に立った支援や合理的配慮の適正化を図っていく必要がある。
●学校行事、寄宿舎行事は年齢層によっては参加について様々な意見が出されるものと考える。その都度検討を重ねていく。
○校内を安全に移動するための対策(点検・改善)
幼児児童生徒への安全な歩行、移動に対する指導支援の充実を図り、自分自身で対応する力、努力する姿勢を育てながら、環境整備として改善を図り、更に安心・安全な教育環境づくりを進める。
○学習環境
お互いの学習の仕方を理解・尊重し、授業やテストを妨げることのないよう気遣いを意識しながら学習環境が整うようにする。
8 おわりに
今回の結果を受け、対象ごとに挙げられた改善・検討事項について、新年度を待たずに早急に改善できることから着手していくこと、また、年度末反省で改善策について協議し、新年度準備を進めていくこととなる。今回の学校評価は全体的に昨年度より低い結果となったものの肯定的な意見が多かった。一部の生徒・職員が否定的な評価となったがその原因についても貴重な意見ととらえ改善策を検討していく。肯定的な意見についても検証し、継続できるようにしていきたいと考える。


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