フロム千小  〜いつもお世話になっている千厩小学校からの声をお伝えします〜

第5回 

千厩分教室と「共に学び」「共に育つ」千厩小学校

千厩小学校校長
皆 上 聖 一 先生
1 はじめに
 平成19年4月、一関清明支援学校千厩分教室「ハピきら」学級が千厩小学校に開設されて今年で十年。今では始業式に始まり運動会、修学旅行などの諸行事、そして卒業式と、千厩分教室、千厩小学校とが一緒になった一年が今年も進みます。
 千厩小学校の子ども達は一関清明支援学校千厩分教室の校歌を当たり前のように歌うことができます。縦割り班で一緒に遊ぶ時、千厩小学校の子ども達と、「ハピきら」学級の子ども達は共に笑顔で。また、突然声を発してしまう子や車椅子に乗った子へ奇異な視線を向けることもありません。障がいを持った子への意識が育った表れなのでしょう。
 
2 千厩小学校の概要(平成29年5月1日現在)
  本校の規模は次の通りです。
 ・ 全校児童 278名   ・教職員数 31名
 ・ 普通学級 12学級
 ・ 特別支援学級 2学級 (知的1、情緒1)
 ・ ことばの教室  2教室



 
3 具体的な取り組み
 「共に学び」「共に育つ」インクルーシブ教育が提唱される中で、各学校はその環境づくり、交流学習の実践のあり方について模索している状況です。その中で、「ハピきら」学級と共に学び、共に育つ千厩小学校の姿は、インクルーシブ教育の一つのモデルと言えるのではないでしょうか。主な交流学習・合同学習を紹介します。

 〇合同で行う行事  入学式、始業式、運動会、修学旅行、グリーンキャンプ、学習発表会、終業式、修了式、卒業式、避難訓練、六年生を送る会 等
 〇授業等での交流  全校朝会、児童朝会、あおぞら学級(特別支援学級)との交流 等
 〇日常的な交流  休み時間、縦割班遊び 等
 〇職員間の連携  連携会議(二ヶ月に1回)、実務担当者会議(毎月1回)、歓迎会・慰労会 等

 また、「ハピきら」学級の保護者の皆様にとっても、お子さんの社会への自立を目指す中で、障がいのあるなしの隔たりない交流を通した成長への期待もあると伺っております。


  


  

 
4 おわりに
 「自分と違う」人への許容がなくなり、分け隔てようとする動きが広がっているように思える昨今の情勢です。「ハピきら」学級との「共に学び」「共に育つ」教育は千厩小学校にとって「共生社会」の実現につながってゆく大切な取り組みだろうと思います。
 今年度で千厩小学校は統合に伴い閉校となりますが、来春開校する新生千厩小学校へ「ハピきら」学級も移転します。これまで十年間培ってきた「ハピきら」学級との「共に学び」「共に育つ」インクルーシブ教育は学校経営の重点として引き継がれていきます。さらに、千厩分教室「ハピきら」学級との交流、共同学習を通して、共生社会の基礎を培う学校経営を進めて参ります。